「初めてで、書評の書き方がわからない」
「書評を書き始めたものの、面白くするのが難しい」
『書評』と聞くと難しいイメージを感じる方もいるかもしれませんが、実際には誰でも、楽しみながら書いたり読んだりできるものです。
とはいえ、最初は何から始めたらいいかわからないという方も多いでしょう。いくつかのコツを知っていれば、書評の内容をより良いものにできます。
この記事では、書評と読書感想文の違い、書評に盛り込む内容、良い書評を書くためのコツ、書評を書くときに避けるべきことを紹介します。
記事を最後まで読めば、書評を書くのが初めての方でも、コツを押さえて書評を書き進められます。ぜひチェックしてみてください。
書評と読書感想文の違い
書評を書いたことはなくても、読書感想文を書いたことのある方は多いでしょう。
どちらも読んだ本について書くことは共通していますが、「相手に伝えることを目的としているかどうか」という点で大きな違いがあります。
それぞれの特徴を理解することで、より良い書評を書けるようになるはずです。ここからは、書評と読書感想文の違いについて詳しく解説します。
書評とは
書評とは、本の内容を客観的に分析・評価し、自分の意見を書く文章のことです。
批判的な視点を持って評価する評論のような書評もあれば、エッセイや感想文のような書評もあり、広い意味で使われることもあります。
書評は読書感想文とは異なり、「本の内容が相手に伝わるように意識して書くこと」が大きな特徴の一つです。主に以下のような内容で構成されます。
- 本の概要(あらすじ)
- どんな内容か(本が書かれた目的、注目すべきポイント、魅力など)
- 著者の背景
- 本の客観的な分析や考察、評価
- 本の社会的・文化的意義や役割
- 他の作品との比較 など
読書感想文では本の概要は不要ですが、書評の場合はその本を手にしたことのない人にもわかるように書く必要があるため、概要や要約が欠かせません。
その他に書評に記載する内容は、魅力や注目すべきポイント、考察、批判的な評価などさまざまです。
学生のレポートであれば、批判的な視点を持ち、内容に対してツッコミ(疑問点や批判など)を入れることに重きを置くケースが多いかもしれません。
一方、誰かに面白い本を紹介するための書評であれば、無理に批判を多く入れる必要はありません。思わずその本を読まずにはいられなくなってしまうような魅力を伝えることを重視した書評にしてもいいでしょう。
いずれの目的の場合でも、書評は本に書かれた情報を正しく伝える必要があるため、十分に内容を理解したうえで、相手を意識しながら書くことが大切です。
読書感想文とは
書評に対し、読書感想文は本を読んで自分が感じたことや考えたこと、心の動きについて書く文章です。
読書感想文では、本の内容よりも自分の感想や気づきに焦点を当てます。誰かに伝えることを目的としていないため、本の概要やあらすじを書く必要はありません。
「読書感想文=本の紹介文」といったイメージを持たれがちですが、実際には読書感想文は「自分のことを書くもの」なのです。
読書感想文は、書くことで自分の考えを深めるのが主な目的です。順序立てて書くことで、自分の頭の中を整理できるメリットもあります。
- 自分が感じたことや考えたこと
- 共感した部分や心が動いた部分
- 著者は何を言いたかったのか
- わからなかったこと
- 読書前後の気持ちの変化 など
例えば上記の様な点について考えながら、書き進めていきます。
書評は他者のために書くのに対し、読書感想文は自分のために書くもの。この違いを理解することで、目的に応じた書き方ができるようになります。
書評に書く内容
書評に書く基本的な内容は、主に以下の4つです。
- 本の概要
- 著者のプロフィール
- どんな作品か
- 本を読んだ感想や批評
ここからは、それぞれの項目について詳しく解説します。
Kindle
書評の冒頭ではまず、本の概要を記載しましょう。
書評を読む人が最も知りたいと思う重要なポイントは作品の魅力や批評について語られた部分ですが、それを理解するためには本の基本的な情報が必要です。
導入として以下の情報を盛り込むことで、スムーズに読み進めやすくなります。
- タイトル
- 著者名
- 出版社
- 発行年
- 本の概要
概要やあらすじは本の種類やジャンルによって変わりますが、小説であればあらすじ、その他の本であれば概要を書きます。
概要を書くときは、ネタバレに十分注意しましょう。特に、小説のネタバレをしてしまうと、本の紹介どころか読む気を失わせてしまいかねません。
読書体験で非常に重要な部分となる核心には触れず、本の魅力を紹介するのに最低限必要な情報のみを簡潔に記載するといいでしょう。
著者のプロフィール
以下のような著者のプロフィールも、書評に盛り込まれることの多い項目です。
- 著者名
- 出生年や出生地
- これまでの経歴
- 過去の著作
- 受賞歴
- 専門分野
著者の情報を提供することで、読者は本がどのような経験や知識に基づいて書かれたかを理解できます。
また、本が書かれるきっかけとなった出来事や事件など、作品の背景を記載することで、より内容に厚みのある書評にできます。
ただし、著者のプロフィールは必ずしも必要な項目ではありません。書評で重要なのはあくまで作品そのものの情報です。
不必要に詳細なプロフィールまで含めると読みにくくなってしまうため、必要な部分だけに留めておきましょう。
どんな作品か
書評でも重要となるのが、その本がどんな作品か、本の特徴、魅力、独自性などについて詳しく説明する部分です。
十分にボリュームをとって、読者に魅力が伝わるように説明しましょう。
例えば、小説の場合は物語の展開や登場人物の描写、文体の特徴などを紹介します。その他の本の場合は、主題、著者の主張や論点、研究方法、データの信頼性などについて解説します。
この部分では、本の内容を客観的に分析しつつ、読者の興味を引くような魅力的な点を紹介することが重要です。
本を読んだ感想や批評
本を読んだ人の感想や批評は書評の核心部分であり、読者が楽しみにしている部分です。
本の長所と短所を公平に評価し、自分の意見を述べましょう。ここでは、「極端に偏った考え方をしない」「好き嫌いだけで語らない」という点に注意が必要です。
書評は評者の主張を披露するものではなく、相手に本の内容を正しく伝え、自分の意見を紹介するものです。極端に偏った思想が盛り込まれると、語られる内容に説得力がなくなってしまいます。
また、単に好き嫌いを書くだけでは、本の魅力や不満だった部分が読者に伝わりません。
批判する場合には根拠を示し、建設的な意見を述べるよう心がけましょう。自分の主観的な意見と客観的な分析のバランスを取ることも大切です。
良い書評を書くコツ
面白い書評を書くためには、いくつかのコツがあります。
以下のポイントを押さえることで、読者を引き付ける魅力的な書評を書くことができるでしょう。
- 自分の紹介をする
- 誰にでもわかるように書く
- 論点を絞る
- 読んでいる途中でメモをとる
- SNSなどに投稿する
ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
自分の紹介をする
評者自身の立場や経験を簡単に紹介すると、読者が書評の内容を理解しやすくなり、説得力も上がります。
例えば、「私は◯◯分野を専門とする研究者です」や「◯◯業界に20年以上携わっています」など、自分の経歴や専門性などです。
堅苦しい肩書きでなくとも、「この作家の長年のファンです」「最近このシリーズにハマり、すべての本を3回読み返しました」などでも構いません。
ただし、自己紹介はあくまで補足情報です。簡潔な内容に留め、本に関係する情報のみを提供するよう心がけましょう。
誰にでもわかるように書く
書評を書くときは、誰にでもわかるように書くことが重要です。
最低限の事前情報として本の概要やあらすじを紹介するのに加え、専門用語や難しい表現は避け、誰にでも理解できる言葉で書くことを心がけましょう。
とはいえ、本の内容によってはどうしても専門用語を使わなければいけない場面もあります。このような場合は、注釈などの形で簡単に意味を説明しましょう。
理解の難しい内容の場合は、比喩や具体例を用いて、抽象的な事柄をわかりやすく説明することも効果的です。
論点を絞る
読みやすい書評は、本の全てを網羅しようとせず、大事なポイントのみに注目して書かれています。論点を絞り、わかりやすい内容を心がけましょう。
無理に全てを取り上げようとすると、かえって焦点がぼやけてしまいます。
本を読んで魅力的だと思った点を書き出し、重要なポイントや最も伝えたいポイントのみを掘り下げるようにすると、しっかり魅力を伝えられるでしょう。
論点を絞ることで、より深い分析や考察、評価ができます。また、読者にとっても、書評の主張がより明確になり、理解しやすくなります。
読んでいる途中でメモをとる
本を読みながら、印象に残った部分や疑問点をメモしておきましょう。
読書中に「ここが面白い」「この点はじっくり分析が必要そうだ」と思ったものの、読み進めているうちに忘れてしまうことは少なくありません。
本を読んでいる途中でメモを取っておくことで、後で書評を書く際に具体的な点を挙げやすくなり、また、読書中の新鮮な感想や気づきを逃さず捉えることができます。
メモの取り方は人それぞれですが、付箋を貼る方法や、ページ数とともにノートやメモ帳に書きとめる方法の他、スマートフォンやタブレットのアプリを活用するのも良いでしょう。
SNSなどに投稿する
書評がうまくなりたい方は、SNSやブログなどインターネット上に投稿するのもおすすめです。
公開することで多くの人からフィードバックを得られたり、同じ本に興味を持つ人との意見交換ができたりするため、新たな視点に気づけるかもしれません。
SNSは読者からの反応も得やすく、検索用タグを使うことで同じく書評を書きたい人や読みたい人とつながりやすくなっています。
書評を書くときに避けるべきこと
良い書評を書くためには、避けるべきポイントもあります。以下の点に注意することで、より質の高い書評を書くことができるでしょう。
- 褒めるだけの文章
- 自分の意見がない
- 著者やタイトルの間違い
それぞれの項目について、詳しく解説します。
褒めるだけの文章
魅力的な部分を褒めることも大切ですが、単に本を褒めるだけの書評では、読者にとって価値あるものとは言えません。
良い点だけでなく、改善点や疑問点も盛り込むことで、バランスの取れた書評になるでしょう。
例えば、「物語の展開は魅力的だが、一部のキャラクターの描写に深みが欠ける」といった具合です。
批判する際は、単に問題を指摘するだけでなく、どうすればより良くなるかという提案を含めることで、より価値のある書評になります。
自分の意見がない
書評には、必ず自分なりの考えや意見を盛り込みましょう。単に本の内容を要約しただけでは、書評とは呼べません。
本の内容を紹介しつつ、それについての自分の解釈や考えを示すことが大切です。
著者やタイトルの間違い
せっかく本を紹介するために書評を書いても、著者名やタイトルを間違っていたら、読んだ人がその本を探し出せなくなってしまいます。
また、レポートやコンテスト、コンクールなどのために書評を書く場合は特に間違いのないよう注意が必要です。
著者への敬意を示すといった意味でも、著者やタイトルの間違いには気をつけましょう。
まとめ
書評は難しいイメージもあるかもしれませんが、基本的な書き方や必要な情報、コツを押さえれば誰でも楽しみながら書けるものです。
書評を書くことは、本の内容を深く理解し、自分の考えを整理する機会にもなります。記事で紹介した書評の書き方のコツを参考に、ぜひ実践してみてください。
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